地方展開で起きやすい「地域連携の空白」
介護事業を新しい地域へ展開するとき、本部は、建設、採用、運営準備を並行して進める。その一方で、病院、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなど、地域の紹介ルートは、開設前から築いておく必要がある。しかし、現地で動ける人がいなければ、この部分は後回しになりやすい。
本稿では、地方展開に際して、本部があらかじめ準備しておきたい地域連携営業の要点を整理する。
地域連携営業が担う3つの役割
地域連携営業とは、地域の関係機関を訪問し、事業者の正しい情報を届けるとともに、現場の情報や反応を集めて事業者へ返し、継続的な接点を通じて地域での認知を形成していく活動である(詳しくは「地域連携営業とは」)。役割は大きく3つに分けられる。
- 訪問・周知:関係機関へ、事業所の特徴や受入情報、新規開設情報を届ける。
- 反応・情報の収集:先方の言葉、地域の受入状況、関係機関の顔ぶれなど、本部だけでは把握しにくい情報を持ち帰る。
- 記録と共有:訪問先、反応、地域の傾向を記録し、本部と共有する。
本部が準備しておきたい5つのこと
1. 対象地域の関係機関を整理する
厚生労働省によれば、地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談、権利擁護、地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行う機関として、市町村が設置している。このほか、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)や、病院の地域医療連携室(MSW)も、地域での相談・連携の窓口になる。進出する地域に、どのような機関があるかを、開設前に整理しておく。
2. 伝えるべき情報を整理する
関係機関に届ける情報は、所在地、受入の対象、対応できる支援や体制、医療との連携、連絡先などである。地域の側が「相談先の選択肢の一つ」として思い出せるよう、事実を、簡潔かつ正確にまとめておく。
3. 案内資料を用意する
訪問の際に持参するのは、原則として、事業者自身のパンフレットや案内資料である。訪問を任せる場合も、案内資料の内容は事業者が確認し、責任を持つ。
4. 営業設計を決める
どの地域の、どの機関を、どの順で、どの頻度で訪問するのか。何を伝え、何を聞き取るのか。これらを、開設計画や受入条件とあわせて、あらかじめ設計しておく。外部へ任せる場合も、事業者との打ち合わせで作成した営業設計に基づいて実行する形になる。
5. 情報を持ち帰る仕組みを決める
訪問先、反応、地域の声を、誰が、どの形式で記録し、いつ本部と共有するのか。記録の形式が担当者ごとにばらつくと、地域間の比較や振り返りが難しくなる。
実行の進め方は、3つに分かれる
実際に現地で動く体制としては、専任スタッフを採用する、本部社員が出張して行う、外部へ委託する、という選択肢がある。進出する地域の数、開設までの時間、本部側の体制によって、向き不向きが異なる。比較の観点は、「自社採用・本部出張・営業代行との違い」で整理している。
THRIVEが担える部分
THRIVEは、上記の営業設計に基づき、関係機関への訪問・周知、広報PR、活動記録・定例共有を、業務委託で実行する地域連携営業BPOである(「地域連携営業BPOとは」)。請け負うのは地域連携営業の部分だけで、資金調達、許認可・各種申請、物件探し、人材の採用・紹介など、立ち上げ全般のサポートは対象外である。成果報酬ではなく、業務実施に対する契約であり、売上や紹介件数などの成果保証は行わない。
開設当初の地域連携がひと段落し、本部が現地から離れて現地任せになってからも、営業体制を維持する長期的なサポートが可能である(「THRIVEの使い方」)。